創立60周年記念事業

講演会の様子

概要

中華人民共和国の映画監督 霍建起(Huo Jianqi)氏が兵庫県産業労働部観光局の特別企画「映画監督・霍建起が行く兵庫県」の企画により来日され、企画の一環として、また本学創立60周年記念事業の一環として、霍監督と本学学生との交流会が下記のとおり実施されました。

日時・場所

日時:2006年10月11日(水) 12:45~17:30
場所:第2学舎 504教室

12:45- 映画「山の郵便配達」上映会
15:00- 講演(毛丹青講師による通訳)
16:00- 学生との交流会、質疑
16:40- 中国映画論ゼミナール

霍建起監督プロフィール

1958年生まれ。美術の世界から映画監督へ。'95年に「贏家」で監督デビュー。'98年の「那山,那人,那狗(邦題:山の郵便配達)」で中国金鶏賞の作品賞及び主演男優賞、モントリオール世界映画祭で作品賞を受賞。2002年の「生活秀(邦題:ションヤンの酒家)」で上海国際映画祭のグランプリを受賞。2004年の「暖(邦題:故郷の香り)」は東京国際映画祭のグランプリと優秀主演男優賞を受賞した。

霍建起監督からのメッセージ

講演会終了後、霍建起監督からのメッセージが寄せられました。

您好!

同学们喜欢中国电影,能够理解我在影片中想表达的想法,我非常高兴和感动.特别是他们用不太熟练的中文和我交流, 让我感到非常亲切和愉快.祝愿这些学习中文的同学,在今后能为加强中日文化的交流,增进中日人民之间的友谊做出贡献.祝大家学习顺利,身体健康!

学生たちが中国の映画が好きで、私が映画で表現しようと思ったことを理解してくれたことを、私は非常に嬉しく思うと同時に感激しました。とりわけ学生たちがたどたとしい中国語で私と意見交換をしてくれたことにはことのほか親しみを感じ、心なごむものがありました。この中国語を勉強している学生さんたちが、今後中日の文化交流を強化し、中国と日本の民衆の友好をさらに深めるために貢献できるよう祈っております。皆さんの勉強に成果があり、皆さんがご健康でありますように。(訳:中国学科 佐藤晴彦教授)

霍建起

講演会の様子講演会の様子
講演会の様子講演会の様子
講演会の様子講演会の様子

企画兼通訳 毛丹青非常勤講師のコメント

講演者はひょいひょいと言った軽妙な語り口で、深いところに触れていく。これこそ、学生を惹きつける、いわば「言語の技芸」というものなのだろう。通訳としての私にとって、実際のところ、アドリブの快楽もとても大事なものである。

霍建起監督のお話も同じように思うが、無論、講演会と言っても一様ではない。しかし、熱心な聴衆と興味深い講演内容はどこの講演会でも共通する。なかでも、その場の雰囲気はしばしば学生の学習意欲を強く変えてしまう。中国語だと、今後熱心に取り込みたい学生も増えてくるかもしれない。

心からそう願いたい。

毛丹青

主催者コメント(抜粋)

霍健起監督の講演会が盛会のうちに幕を下ろしました。美術畑ご出身の監督が,ダイアローグよりも映像美を通して人間の普遍的な感情を描きたいとお考えであること,撮影過程には人為的な計算の外に様々な偶然やひらめきが働いていたこと,それは俳優選定の段階から始まっていたことなど,とても興味深いご講演内容でした。霍監督の愛読書がG・ガルシア・マルケス(本学の木村学長が日本語訳を手がけた)であったり,劉燁を凌ぐ若き才能を我が中国学科から見出されたり,偶然とひらめきが講演会を大いに盛り上げました。

本会の盛り上がりは,霍監督ご自身のお人柄,達人技と企画力の両方を兼ね備えた凄腕の通訳,などいくつかの重要な要因が上げられますが,最も大きかったのは学生諸子の講演会に臨む意欲あふれる姿勢でした。真剣に聞く姿勢,質問が全く途切れなかったこと,他の人の発言を聞くときの温かな態度,一人ひとりの存在そのものが,霍健起監督にどんなに素晴らしい日本の印象を与えたことでしょう。一、二年生には,中国語を使ってアドリブで感想を語る上級生の姿が身近な目標として目に焼きついたことでしょう。逆に習いたての中国語で果敢に質問する一、二年生の態度が刺激になった上級生もいたかもしれません。講演会の主人公は,聞き手でもあり得ます。今回お集まりの皆さんはとても素晴らしい聞き手でした。会場には中国学科以外の学生,教員,卒業生,父兄の方々も大勢お集まり下さいました。積極的にご質問やコメントをくださった方もいらっしゃいました。この場を借りて心から御礼申し上げます。
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中国学科 下地早智子

リファレンス

(訳:中国学科 佐藤晴彦教授)

肉親の情----霍建起監督が日本に携えた答え(抜粋)

神戸市外国語大学は今回の霍建起監督の民間交流の中で最も大事な一コマ。外大はちょうど創立60周年を迎え記念行事を開催しているところだった。学長のたっての配慮により、霍建起監督の講演と交流を創立記念事業の重要な一環と位置づけていた。学長は大部なボルヘス文集を翻訳されたことがある専門家で、映画はそれほど見ないとおっしゃっていたが、霍監督の講演会に進んで出席され、「私は今もう一つの記念事業で何人かの編集者に講演に来てもらっていますが、今日のようにこれだけ多く学生諸君が参加してくれたことがないので、霍監督の講演に集まったと同じくらい、もう一つの記念事業にも参加してほしいものですね。」とユーモアたっぷりに訴えていた。

講演に先だって映画『山の郵便配達』が上映された。上映終了後、多くの女子学生がそっと涙を拭いている姿が見られた。霍監督との交流会では男子学生の一人の発言が人目を引いた。「初め、僕の気持ちは息子の方に惹かれていましたが、その後気持ちがだんだん父親の方に向いていってしまいました。僕は今20を少し出たところですが、将来自分に息子ができた時には、息子と一緒にこの映画を見たいと思いました。」

学生の中には、霍監督と中国語で交流するため、予め中国語で質問を考え、そのうえ自分たちの中国語の表現により精確さを期すため、先生に添削をしてもらった学生もいた。最後に発言したのは入学したばかりの一年生の学生で、その学生の父親も参加していた。父親は、『山の郵便配達』は外国から日本へ帰って来る時の飛行機で見たと言う。父親は「私は多くの国を見てきましたが、そんな中で、何が国境。政治、宗教を越えて人々の心を繋げるのだろうとずっと考えていましたが、この映画でその答えが得られたような気がします。それは「肉親の情」です。」と語っていた。