2010.10.08

おすすめ資料 第116回 人の"死"とは?

2009年7月「臓器移植法」が改正されました。改正後は、本人の同意がなくても、家族の承認での移植が可能となりました。2010年7月の施行後1ヶ月で初の家族同意での移植がなされたとの報道があり、その後堰をきったように本人の同意のない移植が相次ぎました。子供からの移植も可能となり、法律上は「脳死」が人の死として定義されたことになります。人は死とは無関係でいることはできません。「脳死」=死との定義は、日本で生きるすべての人に「死」とは何かという問いをつきつけています。また、家族の「死」について選択をせまられることも十分に考えられます。あなたは人の死・いのちについて、自分の意見を持っているでしょうか。

本書は、現在の移植法のあり方に反対する立場から、コンパクトに脳死、臓器移植をめぐる問題をまとめています。もちろん、反対がイコール正しいというわけではありません。少なくとも「死」「いのち」については、マスコミや他人の意見ではなく「自分の意見・考え」を持つための不断の思索は必要であると思われます。「無関心」や「無知」が許される状況ではないことを認識する意味でも、一読をおすすめします。

2010年10月8日(長)