2011.02.04

おすすめ資料 第120回 旅をするように文学を読む

英語タイトルは Book of Journeys: Travellers' Guide to American Literature 。 アメリカ文学を「旅」するためのガイドブックです。

ひとつの作品につき2、3ページ分の引用が126本収録されています。アンソロジーの定義からは外れますが、アメリカ文学の中の年代もジャンルも様々な作品から「おいしい」ところをつまみとって並べてみせているのはやはりアンソロジーのようです。 掲載作品はジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」、ジョン・クラカワー「荒野へ」、ポール・オースター「偶然の音楽」など。共通するテーマは「旅」です。

引用は編者が気に入った箇所ですから、それはその作品の中で読者が気に入る箇所とは必ずしも重なりません。気になるページがあれば、スムーズにその作品に辿りつけるように、比較的入手しやすい版が紹介されています。多くの作品は外大の図書館でも手に入ります。

この本の紹介にふさわしい一節を、掲載作品の中から引用します。

出かけよう、君、誰であれ、ぼくといっしょに旅に出よう、
ぼくといっしょに旅をすれば、いつまでも飽きのこぬものが見つかるはずだ。

(ウォルト・ホイットマン「草の葉」より)

「いつまでも飽きのこぬもの」が何であるかは読み手の解釈に委ねられます。この本が文学の「旅」のガイドであるように、大学や図書館が、あなたにとっての「飽きのこぬもの」を自力でみつける助けになれたら、と思います。

2011年2月4日(橋)