2008.05.16

おすすめ資料 第65回ひらかな・にほん・びじゅつし

橋本治著 『ひらがな日本美術史』新潮社 1~7 [N702.1-33-1~7] | 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7

古代から現代まで、しかもあらゆるジャンルを含みこむ日本美術の歴史を、一人のヒトが書き通すには、専門外の人間からは想像も出来ない力業が必要とされるだろうと思われるわけで、そういう日本の美術史の概説書は、やはりあまり多くないといえるでしょう。

最近では辻惟雄氏の『日本美術の歴史』[N702.1-32]が「奇想の系譜」の発見者による独自の視点から書かれたものとして評判を呼びました。また、加藤周一氏の『日本その心とかたち』[N702.1-35]も「日本美術史」とは言えないかもしれませんが「造形芸術にあらわれた日本文化の基本的な特徴を論じ」た書物として、多くの示唆に富むものです。

その平凡社ライブラリー版の解説を担当している橋本治氏が、実に13年の歳月をかけて完成したのが今回ご紹介する『ひらがな日本美術史』です。

「夢のようなもの」や「恐ろしいもの」や「ひたむきなもの」や「へんなもの」や「讃嘆するもの」、そして当然のことながら様ざまに「美しいもの」、その他ここに書ききれないほど色々なものがいっぱいある日本美術、その歴史のメインストリームを「弥生的なもの」を一つの軸として、ごくまっとうに描き出してくれる「橋本美術史」、大きくて、きれいな図版を愉しみながら、ゆっくりとお読みください。

2008年5月16日(牛)