2009.03.06

おすすめ資料 第84回国歌から読む国家

弓狩匡純著『国のうた』文藝春秋 [N767-35]

昨夏開催された北京オリンピックは大変な盛り上がりでした。ちょうど夏休み中だったということもあり、夢中になって応援された方も多いのではないでしょうか。

この北京オリンピックにおいて、金メダルを1個以上獲得した国は55ヶ国でした。表彰式では金メダル獲得選手の国の国歌が演奏されますので、55の国歌を耳にする機会があったことになりますが、知っている曲はいくつありましたか?初めて耳にする曲や、メロディーは知っていても歌詞は知らない曲もあったことと思います。

そこで手に取っていただきたいのが、この「国のうた」です。本書では全87ヶ国の国歌の各国公用語による原詞と日本語訳、解説が紹介されています。ハワイ王国や満州国など、現在は存在しない国の国歌も紹介されているほか、実は第2節まであったという初代「君が代」も掲載されています。

神仏や国王、豊かな国土を讃える歌や国家の永続を願う平和な国歌が多い中、国の自由と独立のために命をかけて戦うよう煽る激しい歌も少なからず存在します。これらの歌詞と国歌成立に関する解説を併せて読むことで、それぞれの国の歴史的・宗教的背景を知ることができ、ただのシンボルではない国歌の重みが感じられます。

今月、第2回WBCが開幕します。大会中一番多く流れるのはどの国歌か、目が離せません。この本を片手に、 野球だけではなく参加国の国歌にも注目してみてはいかがでしょうか。

2009年3月6日(福)