2009.07.31

おすすめ資料 第93回 大切なものとは

100年に1度といわれる世界経済危機のもと、国内でも輸出、生産の急激な落ち込みや、それにともなう雇用情勢の悪化など、私たちの生活にも影がさしています。持ち直してきたとは言われますが、まだまだ、先行きは不透明だと言えるでしょう。

バブル経済崩壊前の1989年に刊行された本書は、私たちが人間として豊かに生きるとはどういうことかを問いかけています。統計データなどが過去のものだということだけ注意して読んでいけば、本質的な著者の主張に時代錯誤は感じられません。著者の提示する豊かさに賛否が分かれることとは思いますが、貧しさや生活の苦しさの裏側に、豊かさをどこに求めるかという問いがあることは間違いないのではないでしょうか。

本書の続編として『豊かさの条件』(請求記号 N080=25=836)もあります。2003年刊行で、現在に近づいた分、逆に数字の古さが気になって著者の本質的メッセージを汲み取りにくいかもしれません。阪神淡路大震災の被災者とのNPO活動を通した交流なども取り上げられており、より身近に感じられる方もいらっしゃることと思いますのでご紹介しておきます。

2009年7月31日(永)