ピックアップ在学生の方学生生活

2017年4月 5日(有効期限:2017年4月 5日)

2017年度入学式を挙行しました

4月5日、484名の新入生を迎えました。

新入生は、久元喜造神戸市長から祝辞をいただき、教員、先輩をはじめ多くの方々から祝福を受け、本学学生としての大学生活をスタートさせました。

新入生代表からは、「高い知性と良識を養い、勉学に励みます」と力強い宣誓があり、式典後には指導教員や事務局からのオリエンテーションがありました。

ここに、指学長の式辞を紹介します。

学長式辞

新入生のみなさん、神戸市外国語大学 入学おめでとうございます。保護者のみなさま、本日は誠におめでとうございます。本日、大学院に27名、学部に457名の入学者をお迎えすることになったことを、教職員一同、うれしく感じております。

本学は、昨年創立70年の節目の年を迎えることができました。その記念事業の一環として、11月には模擬国連世界大会を、日本で初めて開催いたしました。世界各国から集まった学生が、全て英語で国連を模した議事を行うものです。

その際、議事に参加した学生ばかりではなく、多くの学生がボランティアとして献身的に大会運営を支えてくれたことが、大会を成功に導き、各方面から高い評価をいただくことができました。これは、本学の学生の語学力の高さだけではなく、その品格の高さをも物語るものと言えます。

つい先日、3月にニューヨークで開催された大会でも、本学の学生が受賞いたしました。いまや、押しも押されもせぬ、実力校として、世界にその存在を知られるようになっていると言えるでしょう。

本学は、ご覧のように、たいへん小規模な大学です。しかし、そのことがかえって、学生と教職員の距離を縮め、アットホームな雰囲気の中で、きめ細やかな指導を可能にしています。これが模擬国連ばかりではなく、さまざまな方面での学生の学修の成果を生んでいます。

また、在学中に留学を経験する学生の多さも、本学の誇るべき点のひとつです。世間では留学を希望する大学生が減少し、その内向き志向に懸念が示されていますが、本学に関しては、まったく逆の状況です。

このように、世界はごく自然に、新入生のみなさんの前に扉を広く開けて待ってくれています。本学でのさまざまな経験は、みなさんにとって、貴重な一生の財産となることでしょう。

しかし、そういった経験が強烈で印象的であればあるほど、落とし穴にもなることは、注意しなくてはなりません。私たちが実際に経験できることは、空間的にも時間的も、ごくわずかだということです。私たちが直に経験できないことの方が、もちろん多いのです。

ですから、自分の経験だけにしがみついて、それだけを拠り所にし、他を顧みないならば、それは単なる独りよがりになり、人の共感を得られることはないでしょう。

では、どうすればその限界を補うことができるでしょうか。

それが学問です。これまでの先人が積み重ねてきた経験が、学問には凝縮されています。私たちが経験できない、遠い過去の出来事も、遙か彼方の事柄も、学問という器の中に詰め込まれています。大学とは、そういった学問を追究する場所なのです。

それでは、学ぶことによって、私たちは何を得るのでしょう。知識や情報はもちろんですが、一番大切なのは、ものごとを捉え、分析し、理解する力です。単なる知識や情報は、ネットで検索すれば、簡単に得られるでしょう。しかし、ものごとを考える力は、検索するだけでは身につきません。
それは、例えるならば、網のようなものです。学問を修めることで、ものごとの本質をすくい取る網を手にすることができるのです。学びを進めれば、進めるほど、その網の目は細かくなります。それで、大切なことを逃がすことなく、捉えることができるようになるはずです。

例えば、昨年、大きな話題になったイギリスのEU離脱問題ですが、マスコミなどの大方の予想では、離脱はあり得ない、というものでした。ですから、離脱が決まったときには、たいへんな驚きが世界を駆け巡りました。しかし、私は、「やっぱり」という感想を持ちました。

といいますのは、私の専門は、イギリスの歴史研究ですので、これまでの歴史的経緯やイギリス社会の状況から考えて、離脱もあり得る、と判断していたからです。つまり、私の場合、イギリスの歴史を学ぶことで、より細かな情報を捉え、考えることができる網が頭の中にあったということになります。

ちょっと自慢に聞こえたかもしれませんが、じつは、アメリカ合衆国の大統領選挙については、私の予想はみごとに外れてしまいました。必ずしも専門ではない合衆国の事情については、私の頭の中の理解の網の目は粗くて、重要な情報がすり抜けてしまい、十分につかみきれなかったということになります。

事実、合衆国について詳しい人に聞いてみると、選挙結果をきちんと予想できていたそうです。その人には、網の目がしっかりできていたわけです。これも、つねに学ぶことを怠ってはならない、ということを教えてくれる事例であると思います。

そういう意味では、世界には「想定外」のことはないのかもしれません。ものごとには原因があって、結果があります。きちんと原因を考え、結果を想定する力があれば、世界はもっとはっきりと見えてくるに違いありません。

みなさんには、ぜひとも、積極的にさまざまな経験を積み重ねていただきたいと思います。そして、それらの経験を、たんに一時的に過ぎ去ってしまうものとして放置しないでください。本学での学びによって、ものごとを理解するための網をもっと細かなものにし、より客観的に、より多面的に捉えなおしてください。そうすれば、経験はしっかりとみなさんの心に刻まれ、未来に向かって進む助けとなってくれるでしょう。そして、世界の動きを見通す眼が開かれるでしょう。

みなさんの学びと経験の舞台となる世界へつながる道は、開かれています。あとは、元気いっぱいに、もしくは恐る恐るでもかまいません、まず最初の一歩を踏み出してくださることを期待し、私の式辞とさせていただきます。

入学、おめでとうございます。