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2019年3月31日

2018年度学位記授与式・卒業式を挙行しました

3月25日(月曜)、2018年度学位記授与式・卒業式を執り行い、学部生433人、大学院生25人が卒業・修了し、

1人に論文博士の学位を授与しました。

学位記授与式では、卒業生一人一人の名前が呼ばれ、中には専攻言語で返事をする卒業生もいました。

ここに、指学長の式辞を紹介します。

学長式辞

皆さん、卒業おめでとうございます。

別室でご覧の保護者の皆様、心よりお喜びを申し上げます。

本日、ご来賓の方々のご臨席も得て、学位授与式を挙行させていただいておりますことは、この上ない喜びです。お忙しい中、ご臨席賜りましたこと、心より御礼申し上げます。

今日、学位記を手にして、皆さんは大学を巣立ってゆくわけですが、自分が一人前になったという実感は湧いてきたでしょうか。やるべきことは全部やった。あとは社会に出て実践あるのみ、と自信に溢れている人は、むしろ少数かもしれません。この学位記が示してくれる内容、すなわち大学で学んだことが本当に人生を切り開いてくれるのか、不安に感じるのは自然かと思います。

一方で、大学を卒業して就職したら、もう人生の後半で、あとは大きな変化はない、と思っておられる人もいるかもしれません。人生50年といわれた昔なら、確かに、これから皆さんは人生の後半を生きることになり、その間手にされた学位の鮮度は保たれたままであったかもしれません。

しかし、人生100年の時代といわれる今、皆さんはまだその4分の1ほどを過ごしたに過ぎません。このあとの4分の3を、大学で学んだことだけで乗り切れるのかどうか、不安だと思います。何しろ、100年といわれると、私ですら大学を卒業してからの年数と同じだけまだ残っていることになりますから、これはたいへんです。

確かに外大で皆さんが紡いだ学問は、まだまだ細くて頼りなく思えるかもしれません。しかも、個々の情報や知識は、変化の激しい現代では、これからの人生の4分の3どころか、あっという間に古びてしまうかもしれません。

しかし、細くても、学問の筋が通っていれば、物の見方・考え方といった学問の根幹は、思った以上に強靱で、変化に耐えることができます。細くて頼りなげに見えても実は強い、ということでは、蜘蛛の糸に例えることができます。

蜘蛛の糸は、強度は鉄鋼の何倍にもなり、伸縮性にも優れます。数ミリの太さに束ねるだけで、何百キロの重さにも耐えることができるほど強くて柔軟なのです。自然界最強の繊維のひとつです。

ただ、いくら強靱でしなやかでも、ひとりの細い糸だけでは、世界の情勢を捉えるには不十分かもしれません。しかし、人と人の細い糸がつながり、蜘蛛の巣つまりウェブになったとき、ネットワークとして力を発揮します。ウェブやネットというのは現代社会の在りようを示す事柄のひとつになっています。皆さんも外大で育んだ人と人のつながりをこれからも大きく育てて、世界に向かってください。

外大は小規模校ですので、いっそう緻密な、上下左右に広がる、つまり同学年だけではなく、先輩後輩にまでつながるウェブ=網(ネット)となり、何かのときには皆さんを受け止めてくれるでしょう。信頼の糸で織られたネットワークです。

しかし、信頼とは、「信じて頼る」と書きますが、頼ってばかりではいけません。人を当てにするのではなく、お互いに人のために進んで労を惜しまない行為、その相互作用こそが本当の信頼関係です。まずは人に信頼され、それに応えることができる、そういう頼もしい存在になって欲しいと思います。

一方、既存のネットワークに支えられているだけでは物足りないという人も多いでしょう。これまでのつながり、世界から飛び出してみたいという希望を持つ人も多いと思います。

実は、クモのなかには、糸を長く伸ばして、伸ばした糸を風に乗せて遠くへ飛んでいくことができるものがあります。その飛翔距離は地球規模での移動も可能なものだそうです。皆さんが身につけた学問の糸も、細いかもしれませんが、皆さんを未知の新しい世界に連れて行ってくれる、そういう力を秘めています。臆することなく、皆さんも風に乗って世界に飛び立ってください。

クモが目的地を決めて飛ぶのかは分かりませんが、皆さんは飛んで行く目標を定めることができます。その目標を決めるのは皆さんの夢です。夢を持たなければ夢は実現しません。ぜひ、雄大な夢を描いて欲しいと思います。何しろ、人生はまだ4分の3も残っているわけですから、いくらでも夢を見ることができます。夢見る力がある限り、皆さんには未来があります。

そうは言っても、遠くまで飛んで行くと、道に迷ってしまうかもしれません。そのときは、頼れる道しるべが必要になるでしょう。今皆さんは神戸から世界に羽ばたこうとされているわけですが、その神戸の港がなぜ良港といわれるのか? その理由のひとつは六甲山の存在です。海から見える高い山は、目で見て港を目指した昔の航海にとって大切な道しるべでした。

皆さんにとっての六甲の山並みは、神戸外大であり、この神戸という街そのものです。将来、道に迷ったら、目標を見失ったら、ぜひ大学と神戸を思い出し、新しい道を見い出すための道しるべにしていただきたいと思います。

神戸市外国語大学の卒業生であるという人とのつながり、そして神戸とのつながりが、皆さんの飛躍をしっかりと支えてくれます。戸惑うことがあっても、迷うことがあっても、皆さんはひとりではありません。皆さんの活躍を心から願う人々に見守られています。安心して遠くまで飛んで行き、そこで花を咲かせてください。皆さんが咲かせた花の便りを遠からず聞かせていただくことを期待して、私の祝辞とさせていただきます。

卒業おめでとうございます。