2007.02.16

おすすめ資料 第12回世界経済はいかに変容したか

トーマス・フリードマン著伏見威蕃訳『フラット化する世界 : 経済の大転換と人間の未来』日本経済新聞社 上[N361.5=508=1]下[N361.5=508=2]

ユビキタスコンピューティングの発達は場所を選ばないビジネス社会を実現しました。例えばあるアメリカ企業では夜間にインドに仕事をアウトソーシングし、それを翌朝に受け取って休むことなく活動しています。作者はそのように境目がなく、狭くなった地球を(丸くない)フラット化した世界と呼び、フラット化に至った経緯を丁寧にひもといています。

ベルリンの壁が崩壊して世界が自由市場指向となり、中国のWTO加盟がさらにその競争の場を広げました。2000年問題への対応はアウトソーシングを促進し、その中でインドが脚光を浴びるようになりました。また企業のあり方のみならず個人の生活の変化もフラット化を後押ししています。現代ほど個人が知識にアクセスするのに差別のない時代はかってありませんでした。 このようにこの図書は世界の経済社会の動きを広い視野で俯瞰できるものになっています。

ご紹介したのは第一部(上巻)の内容ですが、第二部(下巻)ではフラット化した社会で生き延びるための方策が示されています。

2007年2月16日(梶)