2007.05.25

おすすめ資料 第26回ロシアの「食」から「文化」を知る

沼野充義, 沼野恭子著 『世界の食文化 19 ロシア』農山漁村文化協会 [N383.8-63-19]

ここ数年「食育」の重要性が叫ばれ、「食育」についての図書が多数出版されています。確かに「食」は人生において大きな比重を占めています。

このシリーズの監修者石毛直道氏によりますと、「食は文化を映す鏡である」。このシリーズが目指すところは「台所と食卓から世界を読み解く」。ですから、各地域の食生活の紹介にとどまらず、宗教・歴史・文化などさまざまな観点から述べられています。「第19巻ロシア」の著者は、沼野充義、沼野恭子両氏です。文学者の著作ですので、「プーシキン」や「ゴーゴリ」、「ブーニン」などの文学作品からの引用も豊富です。

ところで、ロシア人の家庭に招待されると、料理は「ザクースカ」と呼ばれる前菜、第一の料理スープ(代表はボルシチ)第二の料理(肉料理が主です)、デザートと順番に出ます。―「フルコース」と呼ばれるこの方式は一般にフランスのものと思われていますが、こうした料理の出し方はロシアが本家本元でロシアからフランスに伝えられたものだという―とこの図書に記載されています。また、ソ連時代の都会に住むロシア人の慢性的な食料不足を救ったとされるダーチャ(日本語に訳すと「別荘」ですが高級なイメージとは異なり、実質的には大都市近郊の「家庭菜園」)にも言及しています。

奥深いロシアの「食」の世界に一度旅してはいかがでしょうか?

2007年5月25日(達)