2007.09.07

おすすめ資料 第41回小説で学ぶ法律 ~ひき逃げした大学生H君と被害者Jさんの物語を通して~

松井茂記ほか著『はじめての法律学 : HとJの物語』有斐閣 [N321-107]

この本は小説仕立ての、法律の入門書です。法律の予備知識は一切不要で、気軽に読み進めることができます。又、登場する3人(H君、Jさん、Jさんの母親)は法律について学んだことがない設定になっています。そのため、タイトルは「法律学」となっていますが、高校生以上の方であればどなたでも、「法律」の入門書として読むことができる1冊です。

[あらすじ]

この本の主人公は、ごく普通の大学生、H君とJさんです。

ある日、就職を間近にひかえた大学生H君はデート中に、友達と旅行中の女子大生Jさんを、飲酒運転でひき逃げしてしまいます(p2~p3前半)。翌日、H君は警察に逮捕(p3後半)され、サブタイトル通り「HとJの物語」がスタートします。

その後、3人の登場人物、H君、植物状態となったJさん、Jさんの母親、それぞれの事情や思いや悩みに著者が応じる形で物語は進んでいきます。

そして、『なぜ犯罪は処罰されたりされなかったりするのだろう?(p8~「刑罰の意味」)』『どうして被害者やその家族ではなく、検察官が訴えを起こすのだろう?(p46~「公訴」)』『どうして生命維持装置を外してもらえないのだろう。J本人が望んでいたことなのに。(p164~「第6章法律を決めるのは誰か」)』といった、誰もが思いあたりそうな、素朴な疑問への答えとその理由、なぜ法律がそう規定しているのか、が語られていきます。

 

2007年9月7日(柿)