2008.06.04

おすすめ資料 第66回ジョンソン博士と英語辞典

4月から図書館ロビーでJohnson’s Dictionary of English Languageに関する展示を行っています。今回は、この展示の関連資料を3点ご紹介します。

まず、ヘンリー・ヒッチングス著『ジョンソン博士の「英語辞典」 : 世界を定義した本の誕生』です。「辞典」編纂の過程を追ったノンフィクションで、ジョンソン自身について知るだけでなく、彼の生きた18世紀イギリスの空気を感じることもできます。著者は「辞典」のあらゆるエントリーを読み込んだ上で、その記述から彼の人となりを読み解いてみせているのですが、偉人・ジョンソンにも弱点があったらしいと分かると親近感がわきます。「名人も馬脚をあらわす」の章ではいじらしくなるほどです。ボズウェルの『サミュエル・ジョンソン伝』[N930.28-621-1,2,3]に描かれた彼の姿が愛されたように、この本によってもジョンソンは新しいファンを獲得するのではないでしょうか。

次は、永嶋大典著『ジョンソンの「英語辞典」: その歴史的意義』です。こちらは研究書です。「真の意味での英語の辞書はジョンソンに始まる」として「辞典」の出版がどのような意味を持つのかが詳細に述べられており、今回の資料展示でもっとも頼りにした1冊でした。当館でも所蔵しているAMS Pressによる復刻版が第2版の復刻であることは、この資料によって確認することができました。

最後にご紹介するのは、めずらしい「辞典のアンソロジー」です。Penguin Classicsから出ているA Dictionary of English Language : An Anthology では、計画書と序文も含めた初版の内容を気軽に見られます。辞典という名前はついていますが、読み物として味わうのがおすすめです。ボズウェルが「これほど面白く読める英語で書かれた散文はあまりない」と評したという序文を、原文でどうぞ。

関連リンク:
図書館ロビーでの資料展示について

2008年6月4日(橋)