2009.10.23

おすすめ資料 第99回 英米文化の背景を知る

文学作品を鑑賞する際、その文化的背景への理解の深さは、そのまま鑑賞の深さに影響します。今回とり上げるのは、タイトルもそのままの「事典英文学の背景」です。同じ趣旨で以前ご紹介した「現代英米情報辞典」は最近の英米文化事情をまとめたものですが、こちらは英文学の背景となった伝統的・歴史的な面に重点がおかれています。

「住宅・教会・橋」「城郭・武具・騎士」「田園・自然」の3巻から成りますが、そのいずれにも多数の図版が収録されているのが大きな特徴です。最も多い「住宅・教会・橋」編には700点以上もの写真が掲載されています。見たことのないものを、言葉による説明のみから正確に理解するのは難しいものです。基本的に日本には存在していないものを説明するのに、これ以上適当な方法があるでしょうか。

同じ著者がさらにテーマを絞って解説している「イギリス『窓』事典」も同様の資料です。 窓だけの事典?といぶかしむなかれ。私達が思い浮かべるものと、英国の、特に時代設定の古い小説に出てくるものの間には大きな隔たりがある可能性があります。

たとえば、French windowsから部屋の中へ入る、という表現にあたったとき、この窓の形状がわからなければ、作者の意図しない奇妙な(空き巣にでも入るような)場面を想定することになってしまうかも。ではどんな窓?と思われた方は、ぜひ現物で確認してみてください。

2009年10月23日(橋)