2012.03.16

おすすめ資料 第133回 日本の「かたち」を知っていますか?

文化や思想には「かたち」があります。「かたち」とは"かた"「型」+"ち"「魂」であり、日本文化のもつ独特の「かたち」を学際的に読み解き集大成したのが本書です。この事典の編者である「形の文化会」は、文化の諸領域にみられる「かたち」を20年間研究している学会です。

本書は「かたちのことば」(概念)「かたちのかたち」(図像)「ひととかたち」(機能)という3つの大項目で編成され、「日本文化における"かたち"とは」という困難な問いかけに、多面的、複層的な切り口から小項目を配置し答えを出そうとしています。特に「ひととかたち」は、人間の身振り、振る舞いなど動作に焦点をあて、「動詞」から連想される項目をとりあげています。「すわる」「ぼかす」「やぶる」「わらう」といった動作が、「かたち」という観点から解き明かされていき、興味はつきません。

さすがに「かたち」にこだわった本だけあって、豊富な図版と美しいデザインが目をひき、とても美しい仕上がりです。「文化のかたち」という壮大なテーマに切り込んでいこうとする意気込みが全体から感じられます。事典ですから通読する本ではありませんが、興味のある項目から「かたちを読む」という楽しく奥深い世界をのぞいてみることをおすすめします。

2012年3月16日(長)