神戸市外大

エラそうに聞こえるかもしれないけど、人生の舵をじぶんで握っている感覚を知った。

伊藤鴻志郎 外国語学部 イスパニア学科 2017年度入学/2022年度卒業

きっかけは、大学2年のヒッチハイク。

 2018年、大学2年生の春休みにヒッチハイクをしました。西宮インターと東京を往復し、合計12台に同乗させてもらいました。見ず知らずですから最初はぎこちないのですが、慣れてくるとドライバーはじぶんのことを話してくれます。いろんなひとのいろんな話を聞いたせいか、アタマの中に不思議な感覚が芽生えて来ました。僕の目の前には分厚い本が山のように積み重なっている。それも、見渡す限りずっと先まで。途中で下車したあるサービスエリアで、そんなイメージが湧いてきて、鳥肌が立ちました。

じぶんだけの物語を
じぶんで書いていこう。

 分厚い本の山々はひとの歩む道であり、そこにはそれぞれの物語があり、正解なんてないんだ。そう思えたことで、じぶんを無数の本の中の一冊として捉えるようになりました。
 あのヒッチハイクのおかげで、いましかできない経験をして、いましか書けない物語を書いていくことが、僕の行動の源泉になりました。そして僕はじぶんの物語を求めて、休学という道を選びました。

「勉強なんて、どうせ楽しくない」という、子どもたちの固定観念を壊したい。

 休学して実行したことは、学生教育団体「LearnBo」の立ち上げです。この団体のコンセプトは、「勉強は、もっと楽しめる」。小学生を対象に、「ワクワクするような勉強を創造する」イベントの企画と運営をしています。ターゲットは、勉強が苦手な子どもや、勉強と聞くと急にテンションが下がってしまうような子どもです。勉強が楽しくなるようなイベントを通して、「勉強はどうせ楽しくない」という固定観念を壊してやりたいんです。

勉強を楽しく感じる方法。

 1つは、楽しい方法で勉強にアプローチすること。同じ理科の授業でも、教科書で植物の名前を暗記するのと、実際に森に出かけて植物にふれて覚えるのとでは感情が大きく変わるでしょ。勉強は机でやるという当たり前を覆すことなんですね。もう1つは、楽しい勉強を見つけること。苦手科目があると、勉強そのものが苦手と感じてしまいます。苦手意識がやる気を削ぎます。より興味のあることを学べば、やる気は高まります。
 勉強と遊びを混ぜながら、勉強の視野を広げ、アタマを使う楽しさを伝える。そんな活動を通じて、「勉強なんて、どうせ楽しくない」という固定観念を壊したいです。

意識的に余白をつくった1年間。

 「LearnBo」の活動は在学しながらでも、できたかもしれません。でも僕は何かを考えるとき、余裕がないとじぶんの持ち味を発揮できません。気持ちの余白を意識的に設けるという意味で、1年間の休学は大きな意味がありました。休学中の選択肢として留学も考えましたが、じぶんのやるべきことをゼロから考える時間を持つことを選びました。その結果、じぶんの意志で舵を取ることの幸福感を知りました。余白を意識して設け、自身への問いに向き合う時間を作ることは、在学のままではできなかったと思います。

じぶんが納得する方を選びたい。

 休学の最も大きな収穫は「人生の舵をじぶんで握っている感覚」を味わってしまったこと。社会に出るまでの準備を進めたわけでもないし、留学して就活向けの経験談をつくったわけでもありません。しかし、生きたいように生きている多くのひとにふれる体験をしました。人生の舵はじぶんで握ることがもっとも幸福な生き方だということを知ってしまいました。
 どんなときも、じぶんの納得感が高い方を選んでいこうと思います。

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