stanaka_2021v2.png 現代の世界では、人々の意見の相違を生み容易に答えを出すことのできない問題が数多く横たわっています。ロシアによるウクライナ侵攻に象徴される国家間の対立や、新型コロナウイルス感染症に対する対応をめぐる対立は、こうした問題の一例です。これらの問題をめぐる意見の相違は日々のニュースでも報道されていますが、これらの対立を解決するのは容易なことではありません。

意見の対立を生むこれらの問題に対して、様々なメディアを通して世界中で多くの異なる立場からの言論活動が展開されています。そのような活動の多くは外国語を用いて行われますので、外国語を駆使する力は、世界の言論活動を正確に理解していく上で不可欠なものとなります。また、外国語の背景にある社会や文化を理解することは、言説の背景を理解する助けとなり、言論活動への理解をより深いものにします。

一方で、現代の社会では、1つの問題に対しても様々な観点に立った言論活動が行われています。私たちは、そうした多様な言説を取捨選択しながら、問題の本質を把握する必要があります。こうしたときに、考え方の枠組みがあれば多様な言説を整理する上で有益でしょう。先人の蓄積によって形作られた専門知識を学ぶことによって、私たちは考え方の枠組みを体得することができます。大学では、皆さんに、外国語を習得するとともに、専門知識に裏付けられた考え方の枠組みを体得していただきたいと思います。

しかし、これらは容易なことではありません。大学での学びと常に考える作業を行うことで初めて可能となります。神戸市外国語大学は語学だけでなく、多様な専門領域で研鑽を積んだ教員が数多く所属しています。皆さんが、自分の関心に基づいて自分の専門領域を選択し、大学で教員と共に学び合うことによって、この困難な道を克服することができると信じています。神戸市外国語大学の教職員は、そうした皆さんを応援しています。