国際交流・留学

2023年6月21日

【交換留学】クバン国立大学留学レポート(ロシア)留学レポート

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留学先・留学期間は?

留学先はロシアのクバン国立大学です。

留学期間は2021年8月~2022年6月までの間です。現在は大学院のロシア語学専攻に所属していて、留学をしたのは学部の3年の時でした。

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クバン大学の外観

留学先を選んだ理由・留学のきっかけを教えてください。

将来ロシア芸術の研究者、翻訳者を目指しているので、ロシアへの長期の留学は必須だろうと考えていました。その中で、クバン国立大学を留学先に選んだ最大の理由は、同地方のコサック文化への関心です。この地域は、日本ではあまり触れられることの少ない、地理的に興味深い場所でした。クバン大学との交換留学の枠があることは、神戸市外国語大学を志望した理由の一つでもありました。

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大学前のトラム駅

留学先の雰囲気はどうでしたか?

クバン国立大学は神戸市外大と比べるとかなり大きく、それがほとんど一つに繋がった建物の中にあるので迷う事も多く、移動が大変でした。幸い、学内の移動ルートを表示してくれる地図アプリがあったので、ダウンロードしてよく使っていました。大学や寮の建物自体は古く、教室の備品やトイレはきれいとは言い難いですが、入り口には検温器付の電子カード入場機が設置されていました。
留学生は中央アジアからの学生が多く、現地に日本人は私のほか日本語教師が一人いるだけでした。ロシアといえは冬がとにかく寒いイメージをお持ちだと思いますが、実は夏は非常に暑く、滞在していた寮にクーラーがなかったので、到着後の一ヶ月は大変でした。

留学先でどんな授業を受けましたか?

ロシア語、ロシア文化、ロシア文学などに関する授業を履修しました。ロシア語の授業の一部ではТРКИ*対策もありましたが、ТРКИ自体は帰国が早まったことで残念ながら受験できませんでした。
コースとしては留学生向けの授業が中心でしたが、現地学生向けの授業にも出席することができ、私は芸術史に関する授業を聴講しました。
ただ、前期はコロナ禍によって、後期は戦争による緊急帰国とオンライン留学への移行などのよって、様々な困難がありました。

*ТРКИ・・・ロシア語検定試験

留学前の準備スケジュールについて教えてください。

コロナ禍により留学が一年延期になったこともあったので、留学手続きはあまり参考にはならないと思いますが...2021年の春頃から書類を提出しました。航空券は1ヶ月半前くらいに買ったと思います。

留学の際に日本から持っていくと良いものを教えてください。

タブレット端末は必須だと思います。ロシアの出版事情から、教科書は基本的に購入するのではなく図書館で学期中借りる形になるのですが、数が足りないことが多く、電子版でよく閲覧していました。電子版の教科書を閲覧するにはスマホでは小さく、パソコンは重いので、タブレットがとても役立ちました。
あとは、学生証やパスポート(と当時はワクチン接種証明書)の提示機会は多いので、こうした小さな書類をまとめて持ち歩けるようなものを持っておくと便利です。

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ガレリヤ・クラスノダール(ショッピングモール)

留学を経て学んだことや、身に付いた力などはありますか?

得たロシアの知識や経験を一つずつ列挙しているときりがないのですが...一つ大きなものを挙げると、自身のアイデンティティを深めることができたように思います。そして、外国人との対話、とりわけ日本人の少ないような場所での対話では、自分が日本出身の代表者、精通者として話すことが期待されているように感じることが多かったので、帰国後、日本や地元大阪の文化について改めて学び、考えるようになりました。
また、漠然とした回答になってしまうのですが、この留学で、私が真に得たものは、答えや力ではなく、むしろ問いや課題が多かったように思います。

神戸市外国語大学を選んだ理由は何ですか?

前述したクバン国立大学への交換留学枠があったこと、入試の試験科目が少なかったこと、キャンパスがこぢんまりとしていて真面目で落ち着いた雰囲気の大学だったことから選びました。

受験生へメッセージをお願いします!

神戸市外国語大学はよい大学だと思います。私は学部卒業後も大学院生としてここに留まることを選びました。とはいえ、大学受験は人生の中の重要な転換点の一つになるので、色々な大学を見比べてみることをお勧めします。

受験勉強の仕方については、学校や塾の方針などに流されず、自分に合う勉強方法を色々実験して探してください。受験勉強の個別の知識は必ずしもその後も役立つわけではありませんが、その過程で確立された自己流の勉強法は大学生活でも役に立ちます。

そしてロシア学科への入学を検討されているみなさんには、残念ながらロシア学科に入学するのを悩んでおられる方もおられるかもしれません。ロシア留学もしばらくはできないかもしれませんし、友人たちも今はロシア関係の仕事への就職は難しいと言っていました。
しかし、それでもロシアについて学んだ人材は日本に必要です。そして、覚悟をもって真剣に取り組めば、それだけ応えてくれるような、何か巨大なもの、奥深い魅力がロシアにはあります。であればこそ、長いソヴィエト時代の間も、ロシアの文化や芸術を研究せんと志すものが絶えなかったのではないでしょうか。

ロシア語を学び、またその芸術や文化を学び、ロシアの様々な側面を認識することは、様々な問題を正しく理解し、考えていくためにも欠かせないものであると思います。

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クバン・コサック合唱団のホール