国際交流・留学

2023年9月15日

【休学留学】バジャドリード大学・言語センター(スペイン)留学レポート


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留学先・留学期間は?

スペインのバジャドリード大学・言語センターへ留学しました。留学期間は2022年9月から2023年5月で、大学を休学しての留学です。

留学先を選んだ理由・留学のきっかけを教えてください。

留学の主な動機は「日本にないものを見に行く」ことでした。イスパニア学科でスペイン語を学んでいるという強みを生かす機会として外大入学前から留学を強く望んでいました。
ラテンアメリカ諸国ではなくスペインを選んだ理由としては、例え話者がラテンアメリカの方が多くともスペイン語(カスティーリャ語)のベースを学びたい、と感じていたからです。さらに他のヨーロッパ諸国に気軽に行けるという点も魅力でした。ヨーロッパに行くからにはその機会を大いに活用したかったので、旅行に出かける時間を多くとることが出来ない学部留学や交換留学を選択せず、休学留学を選択しました。
留学先の大学を選んだのは、私の高校はスペインの修道院が立てた高校で、そこにスペイン語教師として勤務していたスペイン人のシスターに、日本人が比較的少なくかつ方言の影響があまりない場所を聞いたところ、スペイン語(カスティーリャ語)の生まれの地とも言われているバジャドリードを薦めてくださったからです。バジャドリードは他にも過去の首都、セルバンテスが住んでいた街、コロンブス死没の街としても知られています。

留学先ではどんな授業を受けましたか?

文法(会話)、芸術史、歴史、文学、地理、文化の授業を受けていました。文法は外大の専攻科目をスペイン語にしたような内容で、4年後期から留学した身としては少し物足りなさがあったように感じます。しかし、外大の教授とはまた違った視点での文法解説はとても役に立ちました。ごちゃごちゃしていた頭の中の文法が綺麗に整頓される授業でした。
また、先生は絵に描いたような陽気なスペイン人の方で、かつクラスメイトも積極的で、授業がつまらないという事はありませんでした。希望者にはDELE(国際スペイン語検定試験)の対策も実施していて、積極的に利用しました。
芸術史、歴史、文学、地理に関しては、学科基礎科目を更に詳しくした授業でした。特に私は芸術史がとても好きでした。古代ローマからダリまで各時代の絵画や建築物、彫刻といった芸術作品全般を扱い、芸術が好きな私としては最高の授業でした。
文化の授業は教室に座って文化を学んだり、バジャドリードにある博物館を巡ったり、月に一回開催される遠足で街探検に出かけたりもしました。マドリード、トレド、サラゴサ、レオンといった近隣都市を始め、一番遠い都市ではサンタンデールという北部の海岸沿いの街にまで足を伸ばしました。

留学先の雰囲気はいかがでしたか?

バジャドリード大学はサラマンカ大学に次ぐ、歴史ある大学です。キャンパスはとても大きく、セゴビアやソリアにまでキャンパスを伸ばしています。その大学内にある言語センターに私は通っていました。生徒と先生の距離が近く留学生同士の中も良かったです。先生はとても親身に私たち留学生の悩みを聞いてくださり、解決のために尽力してくださいました。
言語センターの規模は決して大きいとは言えませんが、小規模なりの良さを十分に感じられる学校だと思います。バジャドリード大学の商業科には日本語のクラスもあり、そこで日本語学習者と交流したりもしました。

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(バジャドリード大学・語学センター)

留学先での一番の思い出を教えてください。

現地で出来た留学生と共にバルセロナへ旅行したことです。知り合って2か月が経った頃のお誘いで、これが初めての、学校を介さない他国の生徒との旅行でした。お互いにスペイン語学習者だったため、意思の疎通はとても苦労し、何度か言いたいことと伝わったことにズレ中に高台からバルセロナの夜景を眺めたのは忘れがたい思い出です。

留学前の準備スケジュールについて教えてください。

私はエージェントを介して5月末からビザの取得に動き出しました。ビザのための無犯罪証明書の申請に一番時間を要し、ビザの許可が出発の2週間前とややぎりぎりになってしまったのが反省点です。新学期のシーズンはビザの申請が下りるのがやや遅いので、前もって行動することが大切です。

おすすめの持ち物はありますか?

レトルトの味噌汁と抹茶のお菓子は現地で知り合った友人にも喜ばれる上に、日本のことが寂しくなったときにこれで凌ぐことが出来ます。
あとはiPadがあれば、とても授業が楽になります。クラスごとに使う本が違い、紙の本だとスーツケースを圧迫しかねないので、とても重宝しました。
またスーツケースに余裕がある方はぜひ、ラップをご持参ください。スペインで販売しているラップは切りにくく、容器に引っ付きにくくとても不便でした。その他のものは大体スペインでも揃いますが、今の状況を顧みれば百均で揃えられるものは持って行った方が無難と言えます。100円で買えるものはほとんど存在しません。

留学中にしたこと

私は留学期間中の語学留学に加え、旅行や絵画教室など学校外の活動にも力を入れていました。この留学期間中で私はスペインの各都市を始め、デンマーク、フランス、ブルガリア、ギリシャ、モロッコ、ルクセンブルク、ベルギー、イタリア、オーストリア、ジブラルタル、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、チェコ、イギリスを訪れました。友人と共に行った旅行もあれば、一人で旅行した国もあります。特にブルガリアの一人旅が私の中ではお気に入りでした。日本からの旅行先としてあまり選ばれる印象のないブルガリアを探索できたのは私にとっては大きな収穫でした。ブルガリアでは一般市民をはじめ、駅員でも英語を話せない人が多く、意思疎通にはやや困りましたがその困難をどう乗り越えるかを考え行動するのがとても楽しかったです。
残念ながら、一人旅をするにあたって女性にはその不安が多く残ります。私もヨーロッパ一人旅にただならぬ恐怖や不安感を抱えていました。今やらなければ、いつやるんだ?というその心ひとつだけで挑み、できる限りの保険や安否確認を友人と取り合って旅行を行いました。空港泊も三度ほど経験しましたが、二度とやりたくない苦い思い出です。
外国人のためのスペイン語コースに通っていたため、現地のスペイン人と交流する機会があまりなかった私は独自に現地の絵画教室をインターネットで探し、授業が終わった午後に油絵を勉強しました。絵画教室には半年間通い、半年間のディプロマを修了しました。油絵の基本、絵の具の混ぜ合わせや技法を教えてもらい、1枚の絵を完成させました。先生や生徒の方々とカフェへ行って会話する機会も何度かあって、モチベーションの維持という点で功を奏したと思っています。

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(完成した油絵)          (絵画教室の先生と)

留学を経て学んだことや、身についた力などはありますか?

語学力に並行して、何事に対しても物怖じしない精神力が身についたなと一番実感できています。それは全く知らない他人に声をかけること、人の言った言葉をまねてみること、分からない言葉を聞き返すこと、イレギュラーなことに即座に対応できること、目の前にある機会に飛びついてみること全てに当てはまります。物事に対して大きく構えることが出来るようになりました。さらに留学先の先生が言っていた「他の文化が私を豊かにする」という言葉が、この留学におけるキーワードだったとも言えます。
留学を経て、私は自分の見えている景色の狭さに気づき、確実に見えている世界の解像度が上がったと感じています。留学生やネイティブと交わした会話や、旅行で得た経験から来るカルチャーショックはもちろんのこと、自国を離れ一人になる時間が増え、自分に向き合う時間が増えることも己を豊かにする一助になったと思っています。

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(ベルギーのグランプラス)

神戸市外大を選んだ理由は何ですか?

神戸市外大を選んだ一番の理由は、小規模ゆえの教育の行き届きやすさです。私は小学校から高校までクラスが2クラスしかないような小規模な学校で育ってきたので、これ以上にない環境が揃っていました。さらに、神戸市外大の語劇団の存在も強く志望した理由の一つです。現在も語劇団で活動しています。

神戸市外大を目指す受験生に応援メッセージをお願いします!

模試の結果に一喜一憂したり、思うように成績が伸びていかない自分にやるせない思いをしたり、感情がどうにも制御できないときだってあるかもしれません。それでも、感じてきた悔しさややるせなさが今後の自分を作ります。涙の数だけ強くなれる、なんてありきたりなフレーズですが、皆が思ってるからこその"ありきたり"だと私は感じています。
そして、やってきた努力や知識は埃を被ることはあれども決して崩れはしません。いつか、大学内の講義や就活の際にある教養テストなどでそれが光るときが来ます。大学を出たその先で、なにがやりたいか。その過程で必要になることだってあるはずです。努力は必ず報われる、なんて大きなことは言いませんが、努力や知識はどんな形であろうとも、必ず皆さんに恩返しをしにまた傍へ帰ってきます。毎日のように目まぐるしく世界の情勢が変わりゆく中、外国のことを学ぶということは今後の入り組んだ社会の間を縫うあなたの縫い針になるでしょう。神戸市外大で学びたいと門戸を叩く受験者の皆さんの合格を願っています。

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