2025年12月 5日
【卒業生お仕事図鑑】外務省(2018年3月卒)

【卒業年月】2018年3月
【卒業学科】国際関係学科
【卒業高校】山口県立下関西高等学校
勤務先について教えてください。
外務省は、外交・国際関係を担当する省庁であり、日本の国益を守り、国民を守り、国際社会の平和と安定に貢献するために、外交政策の総合的な立案・実施、他国や国際機関との関係の管理・調整、海外にいる日本人の保護・支援等を行う組織です。
現在のお仕事の内容について教えてください。
外交官として正式に大使館勤務をする前の準備として、ヨルダン・エジプトで合計3年間語学研修に参加し、アラビア語を学んだ後、現在はリビアの首都トリポリに位置する在リビア日本大使館で勤務しています。同館は、かつてリビア国内の治安悪化を受けて一時閉館し、臨時事務所を隣国に置いていましたが、治安状況がある程度回復したとして、2024年1月にトリポリにて大使館を再開しました。現在は主に経済協力及び広報文化を担当しており、リビア政府との連絡・調整を通じて、日本・リビア間の友好関係の推進に努めています。

在外語学研修時、モロッコで1ヶ月間アラビア語を学ぶサマースクールに参加。
モロッコの家庭でホームステイし、モロッコの文化や社会について学んだ。
現在のお仕事を選んだ理由・きっかけは何ですか?
大学時代に留学したパレスチナでの経験から、中東和平に日本の立場から関わりたい、またシリアなどの戦後復興にも携わりたいという思いがありました。民間企業での就職後もその気持ちは忘れられず、より直接的に国際社会で貢献できる道として外務省の専門職採用試験に挑戦しました。
神戸市外大での学びが社会で生かされていると思うことは何ですか?
大学では人類学の授業が特に印象に残っています。授業では「オリエンタリズム」などの文献を通じて、異なる文化や社会の価値観をどのように理解するかを学びました。既存の枠組みや固定観念にとらわれず、他社の視点から世界を見る姿勢は、日本とは大きく社会背景の異なるアラブ地域を担当するうえで大いに役立っています。文化や価値観の違いを丁寧に理解しようとする姿勢は、現在の外務省での業務においても大切にしています。

リビア商工会議所連盟と会談し、日・リビア経済関係の強化について意見交換。
社会人になってから在学中にしておけば良かったと思うことはありますか?
世界史の学習と英語、さらには第二外国語であるスペイン語の習得にもっと力を入れていれば良かったと思います。スペイン語にはアラビア語由来の単語も多く、言語や歴史の理解を深めることで、より広い視点で国際関係を考える力が養えたと感じています。

エジプトでの語学研修時、エジプト外務省の若手外交官達とアラビア語で意見交換。
神戸市外大を志望した理由を教えてください!
公立の大学で、留学制度が整っており、幅広い分野の視点から国際関係を学ぶことができ、語学教育にも力を入れているため、神戸市外大に入学しました。
神戸市外大で楽しかった授業はありますか?
大石高志先生の途上国の地域研究のゼミに所属し、イスラエルのスタートアップ産業と軍の関係について、英語の研究論文を読み、ゼミでの発表や卒業論文執筆に取り組みました。パレスチナに留学するなど、中東和平に強い関心を持ってきましたが、ゼミ活動を通じて、国際問題には常に複数の視点があり、物事を多角的に捉えることの大切さを学びました。
在学中の思い出について教えてください。
在学中の思い出として特に印象に残っているのは、本学が模擬国連の大会(NMUN)を初めて日本でホストした際に、文化視察プログラムのリーダーの一人を務めたことです。各国から参加した学生を広島へ案内するため、事前に何度も広島を訪れ、資料館の展示や歴史を自分の言葉で説明できるよう学びました。また、視察当日の移動動線や安全面も入念に確認し、参加者が安心して学べる環境づくりに努めました。この経験は、現在外務省で国際会議の運営に携わる際にも大いに役立っています。多様な背景を持つ参加者を迎え、スムーズな進行を支えるための準備力やホスピタリティを、学生時代に培うことができました。

神戸NMUNの文化視察(広島及び京都)のリーダー
就職活動時に外大生で良かったと思ったことは?
外務省は様々な大学の学生を採用するため、特に外大生だからというよりも、大学時代の留学経験や、様々な国際交流事業(内閣府 世界青年の船事業等)への参加経験及びそこでの学びを採用時の面接で話し、異文化への適応能力や好奇心が評価され、面接を突破することができました。

神戸NMUNの文化視察(広島)の打ち合わせ
最後に外大生や外大を目指す受験生へメッセージをお願いします!
私は、他のクラスメートに比べて英語力が秀でていたわけではなく、国際法のゼミに所属していたわけでもありません。外務省は学内でも特別に優秀な人が目指すものだと思っていたため、在学中に自分が外務省を目指すなんて考えられませんでした。それでも、中東地域に携わりたいという気持ちを大事にして、ここまで歩んでくることができました。外交に関心がある方には、ぜひ外務省に挑戦してほしいと思います。
