2025年10月10日
EXPO2025 大阪・関西万博で活躍する在学生・卒業生
本学の在学生・卒業生は、大学で身につけた語学能力と専門教育を通じて修得した知識や資格、また留学や国際交流などの体験で得た知見を活かし、「行動する国際人」として社会で活躍しています。
世界中からたくさんの人やモノが集まる国際イベント「EXPO2025 大阪・関西万博」においても、多くの在学生・卒業生が活躍しており、田中悟学長(国際関係学科教授)、モンセラット・サンス副学長(イスパニア学科教授)が、在学生らが活躍するパビリオンの一部を訪問しました。
また、各パビリオンで活躍する在学生・卒業生へのインタビューを行いました。語学力や本学での学びが役に立った点や、万博での経験を通して学んだこと、今後大学でより学びを深めたいことなど、様々なお話を伺いました。ぜひご覧ください。
インタビュー
スペインパビリオン

Kさん(外国語学研究科 国際関係学専攻1年)
パビリオンを案内していて外国語を使う機会は?
結構あります。館外での案内はもちろん、館内巡回の時は、「これは何を表わしているのですか?」といったような質問によく答えます。
スペイン館のおすすめポイントは?
もちろんいいところはたくさんありますが、一つ目はやはりこの外観です。イタリアにあるスペイン広場も関係あるかもしれませんが、建物がとても開放的です。この階段もそうですが、建物の構造上回転がとても速く、多くのお客さんをご案内することができています。
二つ目は、海の部屋と地上の部屋が両方あることによって、海に面している地域と内陸の地域を両方感じていただけるようなパビリオンになっている点です。他のパビリオンはテーマを絞っているところが多いですが、テーマはありつつもできるだけ絞らずにスペインの様々な地域の文化や歴史を感じてもらえるのではないかと思います。
万博のような国際的なイベントで働く中で、外大での学びが生きたと感じる点は?
スペイン館で働いている人は、実はスペイン人は少なく、フランス人、ペルー人、ドイツ人、日本人などが世界各国から集まっているので、英語がネイティブではない様々な国の人と話すことが多いです。そういう時は、大学の市民・留学生等交流プログラム(CITIZENS CHAT CAFE)で留学生と話した経験が役立っています。また、私はオーストリアに留学したことがあり、そこで英語圏ではない人とのコミュニケーションを英語で行うコツや、気を付けたいことを自分なりに学んできたので、それがここでも生かされているのではないかと思います。あとは、スペインの歴史についても、大学の授業で習っていて、知っていることがたくさんありました。
また授業とは別ですが、外大には多様な学生が在籍していて、万博にも本当にいろんな人たちがいらっしゃるので、大学生活で自分が学んだコミュニケーションスキルやオープンな視野が生かせているのではないかと思います。
万博での経験から、今後外大でさらに学んでみたいと思うことは?
私はイスパニア学科のモンセラット・サンス教授とCITIZENS CHAT CAFEで一緒に活動させていただく中で、スペインのことを教えていただきました。また、現在の指導教官である国際関係学科のラジブ・クマル・シン准教授にも、ネパールやインドのことなど、様々な国について教えていただいています。このように、外大にはいろいろな国から先生がいらしているので、先生方のご経験や、出身国のことをもっと聞きたいと思うようになりました。
ポルトガルパビリオン

左2番目から:Iさん(イスパニア学科3年)、Mさん(英米学科4年)、Hさん(国際関係学科卒業生)
ポルトガル館のおすすめポイントは?
Mさん:
パビリオンの展示がとても個性的です。海をテーマにした展示ですが、ポルトガルと海のつながりがとても強く感じられる素敵な展示になっています。ポルトガルの文化、海の大切さを知ることができるのでそこを楽しんでいただきたいです。
Hさん:
他には、イベントも盛んなのでぜひ遊びに来ていただきたいです。ファド*の演奏があったり、ギャラリーでの様々な特別展示やレストランもあるので、いろいろな楽しみ方ができます。
*ポルトガルの伝統的な音楽で、マンドリンやスペインギターを使った、少し哀愁を帯びた音楽。
万博で働く意義は?
Hさん:
一緒に働く人達にはいろんなバックグラウンドがあるので勉強になることが多いです。ポルトガル館でも上司や同僚はオーストリアや韓国など、様々な国から集まっており、いろいろな経験をされているので、これからのキャリアを考えていくうえでとても参考になります。
来場者からはいろいろな言語で話しかけられ、中には英語が話せない方もいらっしゃるので、そういう時はボディランゲージでコミュニケーションをとったり、普段の生活では使わない頭を使って仕事をしたり、日本ではない環境で仕事をしているような感じです。
国際的な職場で働くうえで、外大での学びが役に立ったことは?
Mさん:
コミュニケーション論の授業で学んだ、日本と海外ではコミュニケーションの取り方が違うということを実感しました。日本語だと、先に「ごめんなさい」、「申し訳ありません」などの謝罪から入ることが多いですが、海外では、謝るより感謝することを大事にしていて、ここで外国人の上司・同僚と一緒に働く中では、サンキューから始めてお願い事をするなど、言葉の使い方やメンタリティの部分が日本でのコミュニケーションとは違うと感じています。言葉ひとつをとっても文化の違いが感じられることが面白いし、国際的な文脈で働く場合はそういうことを大切にしたいと改めて感じました。
万博での経験から、今後外大でさらに学んでみたいと思うことは?
Mさん:
万博では、他のパビリオンとの交流なども多く開催されており、私は国連パビリオンに参加しましたが、そこで館長さんや国連に加盟している機関の方とお話しできたことがすごくいい経験になりました。そのような経験から、模擬国連という外大のプログラムに興味が湧いてきたので、プログラムへの参加応募を行い、来年参加することが決まりました。今回万博で働いたことが大学のプログラムに参加する大きなモチベーションになったと強く感じています。なので、様々なパビリオンで多種多様なバックグラウンドを持つ方と交流できることも、万博で仕事をする素敵なポイントだと思います。
Iさん:
一緒に働く方々の中には、日本の大学に通う外国人留学生も多くいます。純粋に日本が好きで来日して、日本で頑張っていきたいと思っている人と仲良くなることができて、日本に本当に興味があって来てくれている方々の助けになるようなことをしていきたいと強く思うようになりました。このことから、外大で行われている留学生との交流プログラムに興味を持ち始め、挑戦してみたいと考えています。
国際的な場で活躍するにあたり、身に着けていた方がよいと思うことは?
Hさん:
このような国際的な場では、英語は話せて当然という前提なので、それだけだと本当に足りないということを痛感しています。留学、語学力を伸ばすことはもちろんですが、文化的背景をしっかり理解することが大切だと思います。
Iさん:
私は専攻言語としてイスパニア語を、兼修言語として英語を学びましたが、海外と交流して仕事をしたいという人にとっては、複数言語を使える方はたくさんいらっしゃるので、言語としてはどちらの学びも両立させるのが良いと感じました。そういう点では、このような国際的な場に身を置くことによって、英語を活用する機会も得られるし、すごく身になると思います。
また、私はゼミで心理学を専攻しています。語学ができる人はこんなにたくさんいるのだと万博で働く中で知ったので、二刀流ではないですが、言語だけが自分の強みにならないよう、「言語+αの学び」が必要だと感じています。
大阪ヘルスケアパビリオン

左2番目から:
Fさん(イスパニア学科卒業生)、Sさん(ロシア学科卒業生)
Tさん(ロシア学科3年生)、Hさん(ロシア学科2年生)
万博で仕事をしようと思ったきっかけは?
Hさん:
高校生の頃に、大阪で万博が開催されると知り、当時から何らかの形で万博に携わりたいと思っていました。学内掲示板で万博の求人に関するお知らせを見て、「これを機会に挑戦してみよう」と思い、応募しました。
Sさん:
大学在学時にカザフスタンで開催された万博にアテンダントとして参加した経験から、自国である日本で開催される万博にも参加したいと思い、大阪・関西万博で働くことを決めました。
大阪ヘルスケアパビリオンの魅力は?
Fさん:
体の健康データを測定して25年後の姿をご覧いただける「リボーン体験」は、国籍や年齢を問わず人気があります。自分の将来の姿はどんな風だろうと楽しみに来られる方が多いです。
Tさん:
大阪ヘルスケアパビリオンは他のパビリオンより規模が大きいので、さまざまなコンテンツを楽しむことができるところが魅力だと思います。例えば、XD HALLという場所では、ARデバイスを使って、世界的に人気のあるゲームの世界観を実際に全身で体験することができます。
大阪ヘルスケアパビリオンでの業務内容は?
Tさん:
サポートスタッフとして、アテンダントの方(館内の案内役)のサポートをしています。誘導や機材の回収など、パビリオンの運営が円滑に進むよう業務に取り組んでいます。
Sさん:
ディレクターとして、スタッフの管理業務を行っています。3時間ごとに交代で来るボランティアさんの受け入れを行い、ボランティアの皆さんが活動しやすいようにマネジメントしています。
外大での学びが役に立ったことは?
Fさん:
語学力が役に立ったと感じます。万博は、英語圏以外にも様々な国からお客様がいらっしゃいます。在学中に専攻していたスペイン語を使って、スペイン語圏の方の対応をスムーズに行うことができました。大学時代の学びを活かすことができ、嬉しかったです。
Tさん:
語学はもちろん、それ以外にも、コミュニケーション力が役に立っていると感じます。外大では、授業だけではなく、学科内での交流など、たくさんの方と関わる機会が多くあります。様々なバックグラウンドを持つ方が在籍しているため、そこで培ったコミュニケーションの力が活きていると感じます。
万博での経験を経て、今後大学で学びたいことは?
私はロシア語を専攻しているのですが、実際に万博で働くなかで、ロシア語も英語も現時点ではアウトプットが足りないと感じました。これからは、外国語を実践的に使う機会を積極的に増やしていきたいです。
EUパビリオン

Iさん(国際関係学科4年生)
万博で仕事をしようと思ったきっかけは?
子どものころから、祖母などの家族から1970年の大阪万博の話をよく聞いていて、その賑わいや当時の熱気に憧れを抱いていました。大阪で再び万博が開催されると知り、「自分も何らかの形で関わりたい」と思い、万博で働くことを決めました。
パビリオンでの業務内容は?
主に来場者の案内や展示内容の説明を担当しています。外国人来場者も多くいらっしゃるため、その際は英語での対応も行っています。来場者の方とお話しする機会が多く、いかに素敵な思い出を持って帰っていただけるかを意識しながら、一人ひとりに心を込めて対応しています。
また、裏方として植物の水やりや清掃、列の整備などを行い、清掃スタッフや警備員の方々と協力してパビリオンの運営を支えています。イベント開催時にはイベントスタッフとしての業務にも携わっています。
外大での学びが役に立ったことは?
一番役に立っているのは、やはり語学力です。英語はもちろん、第二外国語についても毎日のように使う機会があり、挨拶や簡単な会話でも相手の言語で話しかけるととても喜んでもらえます。
また、大学や留学を通して学んだ異文化理解の視点も大いに活かされています。来場者やスタッフはさまざまな国や文化的背景を持っており、それぞれの考え方や感じ方を尊重しながら接することを心がけています。言葉が完全に通じない場面でも、笑顔やジェスチャーを通してお互いを理解し合うことができると感じています。
万博での経験を経て、今後大学で学びたいことは?
さまざまな国や文化的背景を持つ人と交流する中で、多くのお話を聞くことができ、各国の歴史や文化についてさらに深く学びたいと感じるようになりました。また、日本の政治や社会について質問されることも多く、細かい部分まではまだ十分に答えられないことがあるため、今後は日本に関する知識も増やし、日本や世界の現状を正しく理解できる力を身につけたいと考えています。
こうした学びを将来的には、国際的な場で多様な人々と協力し、相互理解を促進する仕事に活かしていきたいです。
セルビア共和国パビリオン

Oさん(国際関係学科卒業生)
万博で仕事をしようと思ったきっかけは?
生まれも育ちも大阪なので、高校生の頃に大阪での万博開催が決まった時から、何らかの形で関わりたいという想いがありました。また、将来英語を使って仕事をしたいという夢が、英語を学び始めたきっかけだったので、その夢を叶えられる大きなチャンスになるかもしれないという期待もありました。チームのリーダーとして働くことはかなりプレッシャーを感じましたし、自分で務まるかという不安もありましたが、こんな挑戦は人生で何度もできるものではないだろうから逃すべきではない、と思い働く決意をしました。
パビリオンでの業務内容は?
スーパーバイザーという、アテンダントチームの指揮を執るポジションを担当しています。アテンダントと同じくパビリオンに訪れたゲストを案内する役割以外にも、パビリオン内のゲストの流れを滞らせないよう、パビリオン全体や待機列を見回りながら適宜アテンダントに指示を出すというフロアマネジメントのような役割もあります。
その他、VIPゲストのツアーを担当したり、運営に関わる様々なチームと連絡を取り合ったり、日によって様々な業務を兼任しています。
外大での学びが役に立ったことは?
在学中に参加していた模擬国連活動で培ったリサーチ力が役立ったなと感じています。スーパーバイザーとしてゲストの質問に答えることやVIP対応をすることが多く、セルビアという国やパビリオンについての知識をしっかり蓄えておく必要があったので、会期前からリサーチノートを作成して、今もゲスト案内に活用しています。
また、セルビアは国の独立までの変遷が複雑で、様々な民族や国と関わりあってきた歴史があるので、理解するうえで国際政治や国際機関に関する知識が役に立ちました。
外大ではチームで議論したり課題をしたりする機会が多いと思いますが、そういった経験も、チームを率いてパビリオンを運営していくに当たって役立っていると感じています。
国際的な場で活躍するにあたり、身に着けていた方がよいと思うことは?
語学力やコミュニケーション力はもちろんですが、様々な考え方を受容できる柔軟性と、自分の考えをしっかり伝えられる積極性を伸ばしておくと役立つと思います。
色々なバックグラウンドを持つ人と関わる場面が多いので、考え方の違いや表現方法の差に戸惑うことも少なくありません。ですが、そこで相手が間違っていると拒否して、コミュニケーションを諦めてしまうと、せっかく得られるはずの新しい視野を取り入れるチャンスを逃してしまいます。かといって、周りのペースにのまれ過ぎてしまっては、自分自身が持つ力を発揮できません。
違いを学びや経験として受け入れられる柔軟さと同時に、時には議論を恐れず発信する積極的な姿勢が必要だと感じています。
その他の万博関連ページ:神戸高専ブースでの通訳ボランティア
本学と同一法人下にある神戸高専は、EXPO2025 大阪・関西万博 未来社会ショーケース事業のスマートモビリティ万博において、次世代ロボットの実装・実証を行う取組(ロボットエクスペリエンス)に参加しました。
本学からは通訳ボランティアとして、6月・9月に学生をロボットエクスペリエンスへ派遣し、多種移動支援ロボットや壁面移動ロボット等の出展ロボットに関する英語での説明や、質疑応答のサポート等を行いました。派遣概要の詳細・参加学生のコメント等は、以下よりご確認ください。
6月活動報告
9月活動報告